「去年のうちに解散しておけば…」支持率ガタ落ちの岸田総理を待ち受ける「最悪の末路」
※「有権者からスルーされる」岸田文雄首相
各社が行う2月の世論調査で、岸田政権の内閣支持率の下降傾向が止まらない。
NNNと読売新聞の共同調査では24%と前回と同様に過去最低で、朝日新聞の調査では21%と、
2012年の自民党の政権復帰後最低記録を更新した。
とりわけ毎日新聞では内閣支持率は14%と、3週間前の前回の調査から7ポイントも減少した。
同調査によれば、各政党支持率は自民党と立憲民主党がともに16%と並んだ上、
日本維新の会も13%と前回から4ポイントも増やしている。
こうした状態に「政権交代前夜に似ている」との声が聞こえるが、
ある自民党議員によれば、現実はさらに厳しいようだ。
「2009年の時は、演説をしていると睨まれたり、立てかけておいた看板や旗を蹴られるなど、
有権者からむき出しの“憎悪”が投げられた。だが今はそれすらもない。
まるで何もないかのように、有権者は我々の前を素通りしていく」
実際に自民党は、4月28日に予定される衆議院補選で候補者を擁立すると宣言したものの、
すでに細田博之前衆議院議長の死去による島根1区は別として、東京15区と長崎3区では
作業は難航。東京都連に至っては、一般公募に切り替えたほどだ。
そこで2024年度予算が年度内に成立後、すぐさま衆議院を解散し、補選に本選を
合わせるという説が一部で囁かれている。
下手すれば“全敗”となるかもしれない衆議院補選を「政権選択選挙」とすることで
乗り切ろうとするものだが、本末転倒もいいところだ。
※昨年には「4月解散説」もあったが……2023年5月に開催された広島サミット
もっとも9月に予定される自民党総裁選を前に衆議院選を行い、勢いが冴えない野党に
勝利して政権延命を図ろうとする目論見は、昨年の春ごろに囁かれていたものだった。
だが5月に岸田首相の地元である広島市でG7サミットが開催され、故郷に錦を飾った
岸田首相にとって、この頃はまさに“最盛期”といえた。当時のNHKの調査でも、
内閣支持率は46%で不支持率は31%と、支持率が不支持率を上回っていた。
しかし現在は逆転し、2月の調査では内閣支持率は25%まで下落し、
不支持率は58%まで上昇している。
なぜ岸田政権はそれほどまでに国民に嫌われてしまったのか。
主な原因は派閥のパーティー券をめぐる“裏金”問題だろう。
そもそも有権者は「政治とカネ」問題に敏感だ。しかも今回は、特定の有力議員の
名前が出たロッキード事件やリクルート事件などと異なり、ベテラン議員から
新人議員まで問題が広がっているため、「自民党の体質の問題」と見なされている。
にもかかわらず、もし岸田首相が派閥のパーティー券問題を「安倍派や二階派の問題」
として矮小化して考えているのなら、大きく民意をはきちがえているとしか言えない。
たとえ岸田首相が派閥のパーティー券問題と無関係だとしても、当然のこととして
自民党総裁としての責任をとるべきことが求められる。
朝日新聞が2月に行った世論調査では、83%が「裏金問題で岸田首相の対応を評価しない」
と答え、81%が「“政治とカネ”問題で自民党は体質を変えられない」と回答した。
この傾向は当分続き、情勢が反転することは難しいだろう。
※バイデンからの厳しい「宿題」
それどころか、「貧すれば鈍する」という通り、得意であるはずの外交に足を
引っ張られかねないのだ。
岸田首相は4月にバイデン米国大統領から国賓待遇で招待されているが、大統領選で苦戦が
伝えられているバイデン大統領からどのような「お土産」をもらってくるかはわからない。
たとえばウクライナへの支援などを盛り込んだ外国援助法案は、アメリカでは
ようやく2月13日に連邦議会上院で可決されたが、下院のジョンソン議長は
これに否定的だと伝わっている。
しかもEUはウクライナと加盟交渉を開始したものの、援助疲れは否めない。
そんな中で2月19日に東京でウクライナ復興会議が開かれ、同日に上川陽子外相は
ウクライナへの渡航制限を緩和した。
すでに昨年12月には鈴木俊一財務相が6500億円もの追加支援を表明している。
これらが岸田首相からバイデン大統領への「お土産」であったとしても、
日本国民にとって怖いのはさらに「宿題」が出されることだ。
NHKの世論調査を見ると、2012年に民主党から政権を奪還して以降の安倍晋三内閣は、
常に3割以上の支持率を維持していた。「岩盤支持層」と呼ばれた保守の支持層が
支えたゆえに、第2次安倍政権は7年8か月も続くことができたのだ。
しかし岸田政権になって、その支持層はなくなった。
理由はアメリカの意向に忖度して、LGBT理解増進法など保守層が嫌がる法律を
通したからだと言われているが、それだけではないだろう。
※「解散しておけばよかった」
今になって「昨年に衆議院を解散しておけば良かった」との声が自民党内から聞こえてくる。
もっとも岸田首相は広島サミット後に“伝家の宝刀”を抜こうとしたが、まだ衆議院の
任期の折り返しを迎えていないという理由で、麻生太郎副総裁らに阻まれた。
それでも押し切るのがリーダーというものだが、岸田首相がどうも決断するタイミングが悪い。
そこが2017年9月に衆議院の解散を決行した故・安倍晋三元首相とは違うところだ。
当時の自民党は7月の都議選で大敗し、前年に東京都知事に就任したばかりの小池百合子知事が
“希望の党ブーム”に乗じて国政に挑もうとしていたが、自民党は改選前の284議席をなんとか維持した。
いま岸田首相が解散を打てば、自民党は60議席も減らすと言われている。
多数の同志が無残に散ると理解したうえで、あえてチャレンジする必要はあるのか。
4月28日投開票説は、岸田首相と同じくらい政治的センスがないとしか言いようがない。