新NISAの「クレカ積立」は本当に得なのか…!?

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これから日本人を待ち受ける「NISA貧乏」という悪夢

NISA口座での積立投資をクレジットカード決済で行う「クレカ積立」が人気だ。

3月の法令改正で、月5万円の上限額は月10万円に引き上げられた。

消費経済ジャーナリストの松崎のり子さんは「簡単な設定で投資ができ、
ポイントが付くため『クレカ積立』はすっかり定着した。

しかしその手軽さから、『NISA貧乏』に陥る人が続出する恐れがある」という――。

「得をしたい」という心理は非常に危険

あなたも「沈没船ジョーク」を聞いたことがあるだろう。

沈没しかかった船から海に飛び込ませるために、船長は乗客たちにこう告げる。

アメリカ人には「飛び込めばヒーローですよ」、イギリス人には「紳士なら飛び込むものです」、
ドイツ人には「規則で飛び込むと決まっています」、そして日本人には「皆さんはもう飛び込みましたよ」と。

周囲と同じことをしていると安心できるのが、日本人の気質というわけか。

最近、それを感じた出来事がある。新しくスタートしたNISAだ。

2024年1月から従来の制度が改正され、投資期間・非課税期間が無制限に、
年間に投資できる金額も大きく拡大された。

中でも、つみたて投資枠は従来の年40万円から120万円になり、
政府も金融機関も派手にアピールをしている。

まさに「皆さんはもう飛び込みましたよ」と囁かれているようなもの。

NISAの仕組みがよくわかっている人もいない人も、「NISAはやったほうがいいに違いない」と信じている。

預貯金より増えるから? それとも、老後が不安だから?

それもあるが、もっと根深い心理がある。「他人が得しているのに、自分だけが損するのは悔しい」
という感情だ。他人が儲けているなら、自分も儲けたい。

同じように、いやそれ以上に得をしたい。

しかし、この「得をしたい」という心理が、足元をすくうトラップになりかねない。

得するつもりが、逆にNISAで貧乏になってしまうパターンをお伝えしよう。

■「クレカ積立」は本当に得なのか

積立投資の目的は、中長期でじっくり資金を増やしていくことだ。とはいえ、所得が低めで
手元資金も少ない若者層に、時間をかけて老後資金を作りましょうというだけでは引きが弱い。

そこで、各金融機関がこぞって採用しているのが「クレジットカード積立」だ。

通常、投資信託を買うには、証券口座に代金を入金したり、銀行口座から振り替える必要がある。

その手間を省き、購入代金をカード決済にするのがクレカ積立の仕組み。

手軽さに加え、もう一つメリットがある。積立資金に対し、カードのポイントが付くことだ。

長く続いたゼロ金利の間に、せっせとポイントを貯めてお金代わりにする「ポイ活」が
すっかり定着した。

いかに効率よくポイントを貯めるかの裏ワザが話題となり、「クレカ積立」もその
一つとして人気を集めている。

老後のための投資信託をカード決済で積み立てつつ、今すぐ使えるポイントも貯まる。

二重にオトクというわけで、瞬く間に広がった。

■法令改正で、投資上限額が月10万円に倍増

現在、NISA口座のシェアを押さえているのは、楽天証券とSBI証券の2大ネット証券。

若年層ユーザーをがっちりつかみ、むろんクレカ積立にも積極的だ。

中でも楽天ポイントを中心とする「楽天経済圏」では、積立決済の約9割が楽天カードや楽天キャッシュ
(電子マネー)などグループ内金融サービスを経由しているとか。

そうやって楽天ユーザーは貯まったポイントをさらに購入費用に充てるという「お得」を享受している。

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