致死率30%!? “人食いバクテリア”が引き起こす感染症… その症状は?
TOKYO MX(地上波9ch)のワイドショー生番組「バラいろダンディ」
「無病息災!バラいろ健康学会」のコーナーで、産婦人科医の丸田佳奈先生が
“人食いバクテリア”が引き起こす感染症について解説しました。
短期間で体の一部が壊死してしまう「劇症型溶血性レンサ球菌感染症」
原因は「A群溶血性レンサ球菌」という健康な人の咽頭や消化管、表皮などに
常在する細菌なのですが、手足の小さな傷口などをきっかけに、本来この菌が
存在しない皮膚の深部や筋肉などの組織に入り込む事があります。
ほとんどの場合は大きな問題にはなりませんが、稀にこの菌が作る毒素により、
壊死性筋膜炎という致死的な軟部組織感染症に進展し舞う事があるのです。
その進行があまりに早い事から、通称“人食いバクテリア”として恐れられています。
本来、「子どもの喉風邪を引き起こす細菌」として有名な菌であり、その際には
ほとんどの場合軽症で治まるのですが、なぜ、四肢・体幹の軟部組織感染症と
して発症した場合に重篤な反応がでる事があるのかについては、
現時点では十分に解明されていません。
A群溶血性レンサ球菌が通常存在しない組織に入るきっかけとしては、
小さな傷=かすり傷以外にも、トゲなどによる傷、虫刺されのあとなど、
わずかな傷口から体内に侵入すると考えられています。
しかし、「一切傷口が見えないのに感染していた」という例も。
また、喉にも常在している菌なので、丸田先生いわく
「男性が風俗店で口腔性交渉後に陰部に感染して劇症型溶血性レンサ球菌感染症を
発症したケースもある」とのこと。
いずれにせよ、明確な感染経路がわかっていない部分もあるため
「医療の現場でも医者泣かせな病気」なのだとか。
感染後の症状には、以下のような過程があります。初期症状としては、創部の疼痛、
発赤、腫脹のほか、発熱や悪寒といった風邪症状などが見られます。
その後、傷口がある皮膚や筋肉周辺の組織が壊死を起こし始め、これを
「壊死性筋膜炎」と呼びます。
最終的には、血圧低下や多臓器不全からショック状態に陥り、
場合によっては死亡することもあるそうです。
劇症型溶血性レンサ球菌感染症の特徴は、発病後の進行が急激かつ劇的であること。
丸田先生は「1時間に2~3cmのスピードで病状が進行し、発病後、
数十時間で死に至ることも少なくない」と話します。
毎年100~200人の患者が確認されている劇症型溶血性レンサ球菌
感染症ですが、その報告数は近年増え続けており、
「今だと年間400~500例くらい」と話す丸田先生。
その増加傾向は、東京都の年別報告数のグラフを見ても明らかです。
劇症型溶血性レンサ球菌感染症の致死率は約30%。2012~2014年の
死亡例では、全体の76%が発病から3日以内に死亡し、41%が発病日
当日もしくは翌日に死亡しています。
そのため、きわめて致死率の高い感染症として知られているのです。
命が助かっても、「壊死した部分は元には戻らない」と話す丸田先生。
それだけでなく、「新たな感染源となる可能性があるため、感染部を
取り除いて皮膚を移植したり、場合によっては四肢を切断する手術が
必要なこともある」と言います。
丸田先生によると、劇症型溶血性レンサ球菌感染症を発病しやすいのは
「30歳以上の大人」とのこと。
基礎疾患がなく、健康な人を含め「誰でもなり得る」とのことで、
以下のように予防のポイントを紹介しました。
かすり傷でも清潔に!
少しの傷口でも感染の可能性があるため、傷ができたら時間を空けず
にしっかり洗い、菌の侵入を防ぐよう心がけましょう。
異常を感じたら早めの受診を!
傷だけでなく、発熱などの全身症状がある場合や、傷が通常よりも痛く感じる、
病変がどんどん広がっていくというような場合には、早急に受診しましょう。
丸田先生は最後に、「特に若い方は『大丈夫!』と油断してしまう方も。
注意してください」と呼びかけました。
木曜コーナーの「無病息災!バラいろ健康学会」は、次回2月28日(木)に
放送予定です。
ぜひご覧ください。(毎週月~金曜21:00~)。