政権の「泥船」嫌って相次ぎ辞退者 屈指の親中派・林前外相の官房長官就任「絶望しかない」と識者
早速台湾からの能登半島地震に対する援助申し出を政府は断っている。
中国への忖度と思われても仕方がない。
現地の困窮をこの官房長官は理解しているのだろうか、
現地を最優先に判断する政治判断が求められる。
安倍派の大臣が更迭される中!
官房長官の後任には、自身が先週まで率いた岸田派(宏池会)幹部で、
「政界屈指の親中派」とされる林芳正前外相が充てられた。
米中対立が深刻化するなか、同盟国・米国や、
覇権拡大を進める中国の反応も注目されそうだ。
林氏の起用は、意中の候補に相次いで固辞されたための窮余の策という。
ただ、岸田派でも政治資金収支報告書の「過少記載」が浮上しているのに、
政権の要に身内を充てる〝焼け太り人事〟〝厚顔人事〟という批判も聞かれる。
「政治の信頼回復と国政の遅滞回避の観点から、14日に人事を行いたい」
「信頼回復のため、火の玉となって自民党の先頭に立ち取り組む」
岸田首相は13日、臨時国会閉会を受け記者会見で、こう語った。
ただ、声のボリュームは低く、目も泳いでいるように見えた。
一連の疑惑は、安倍派や二階派(志帥会)に加え、岸田派にも飛び火している。
14日から本格化する東京地検特捜部の捜査の行方次第で、さらなる大混乱となり得る。
岸田首相は人事について、「懸念が生じないよう、諸課題に対応するための体制」と語ったが、
閣僚人事は難航を極めたという。
退任するのは松野氏と鈴木淳司総務相、西村康稔経産相、宮下一郎農水相の4人。
後任には、総務相に松本剛明前総務相(麻生派)、経産相に斎藤健前法相(無派閥)、
農水相に坂本哲志元地方創生相(森山派)を起用する。
ベテラン議員は「派閥の疑惑が〝炎上〟するなか、岸田首相は無派閥や、派閥色が薄く
経験豊かな人材を起用したかったようだが、『泥船』を嫌って辞退が相次いだ」と語る。
例えば、無派閥で当選10回の浜田靖一前防衛相には要職に推す声が上がり、
岸田首相側は官房長官就任を要請したものの、浜田氏は固辞したという。
この他にも、複数の辞退者がいたとされる。
ジャーナリストの鈴木哲夫氏は「浮上した閣僚の陣容を見ると、岸田政権を支える主流派で固めた。
重大な政権のピンチに、本来なら危機管理に長けた『剛腕』を起用するべきだが
、『大改革の覚悟』は感じられない人事だ。
頭を低くしてやり過ごしたい意図が透ける。政治不信の根本解決にはならず、
岸田首相の求心力はさらに低下した。
そもそも、疑惑の全容が不透明ななか、丁寧な検証もなく安倍派を
一掃する性急な人事で、強い怒りも鬱積した」と分析する。
中でも、党内に反対論があった林氏の官房長官起用は禍根を生みそうだ。
中国事情に詳しい評論家の石平氏は「官房長官は『内閣の要』『政権の顔』だ。
『政界屈指の親中派』である林氏を起用した岸田政権には絶望しかない。
中国は大歓迎の人事だろう。来年1月に台湾総統選を控え、
挑発的行動を強める中国がますます増長しかねない。
政治資金問題も重要だが、今の局面で外交への
視点が欠落している」と批判する。
「岸田首相が2021年、林氏を外相に起用した際、
安倍晋三元首相は強く反対した。
『異次元の媚中派』だからだ。実際、外相時代には中国に
毅然(きぜん)とした姿勢を示さなかった。
中国は沖縄県・尖閣諸島での主権侵害や、海洋ブイの設置で、ますます
覇権主義的動きを強めているだけに、今回の人事は『日本は譲歩する』
という誤ったシグナルに受け取られかねない。林氏は、米国でも超党派で
中国への距離感が懸念されている。
3月に20カ国・地域(G20)外相会合に欠席したが、この会合は露中に
対峙する自由主義諸国の結束を表明する場だっただけに、米側は激怒した。
さらに、官房長官は北朝鮮による拉致問題担当相を兼ねることになるだろう。
林氏は、救出運動の現場で顔を見たことがない。
『親中』の姿勢は、自ずと『親北』の姿勢につながりがちだ。
非常に懸念している」
野党が一致して提出した内閣不信任決議案は13日、否決されたが、
14日以降、特捜部の捜査は本格化する。
二階派や岸田派に追及が広がれば、「無限の辞任・更迭ドミノ」を招きかねない。
疑惑に絡み、安倍派事務総長の高木毅国対委員長が辞意を伝え、
萩生田光一政調会長も辞表を提出する。
さらに、世耕弘成参院幹事長も退く見通しで、混乱は続きそうだ。
岸田首相も先の会見で、解散・総選挙や内閣総辞職、来年秋の
自民総裁選への対応について、「今は先のことを考えている余裕はない」と
述べるなど、追い込まれている。
前出の鈴木氏は「混乱はますます加速するだろう。岸田首相は『政権の延命』を
画策しているが、党内の反発が強まり、世論の支持がさらに低下すれば、
その立場はますます厳しいものになる」と語った。