大型インタビュー ダルビッシュが大谷&由伸のド軍移籍にショックを受けた理由とは…
サンケイスポーツが各界のトップランナーに迫る
大型インタビュー企画『我は行く』の第3回。
米大リーグ、パドレスのダルビッシュ有投手(37)が3日連続で
登場。第2回は昨季の右肘負傷から復活を期す今季への思い、そして
大谷翔平投手(29)と山本由伸投手(25)が加入した同地区最大の
ライバル、ドジャース打倒への意気込みを語った。(取材構成・山田結軌)
昨季は右肘を終盤に痛めた。このオフの過ごし方は
「9月頭にシャットダウン(試合には出場しない判断を)して、
そこから少し休みました。
オフシーズンに入って、1週間ぐらい休んでから本格的に
トレーニングを始めて、そこからずっとトレーニングを重ねています。
ブルペンは今(1月上旬時点で)5、6回ぐらい投げていて、
かなり順調にきています。
「特にテーマはなかったですね。とにかく肘の状態がどうなのって。
ブルペンで投げてみるまでは、普通にトレーニングをしていました。
ブルペンに入って痛くなければ、そのままシーズンに入る感覚だった。
トレーニングはずっと(本拠地の)ペトコ・パークでやっています。
マチャド(通算313本塁打の内野手)とかと一緒にいろいろ言い合いながら。
すごく良い相乗効果が僕にはある」
得られたことは
「下半身の状態が、すごく良くなったんですよ。
下半身のトレーニングをとにかくするようになった。
好きになったし、楽しみになったオフシーズンですね。
ちゃんとトレーニングのプログラムに沿って、栄養もしっかり摂取したり、
休みを取ったりしていけば、こんなに成長するんだ、と分かった。
成長する喜びをまた知ることができました」
同じナ・リーグ西地区のライバル、ドジャースは大補強を敢行。
大谷翔平をプロスポーツ史上最高額の10年総額7億ドル
(約1015億円=為替レートは入団合意時)、山本由伸を
12年総額3億2500万ドル(約465億円=同)で獲得した。
「誰を取ろうが何とも思わないですけど、やはり日本人で、
しかもWBCでチームメートだった2人(大谷と山本)が
行くのがすごくショックでしたね。
2人の判断に対して、じゃなくて。ドジャースは強いチームなので
日本から来た選手みんなで力を合わせて勝てたらいいなと思っていたので。
1年前、ちょうど今ぐらいの時期にブルペンで投げているときに
A・J・プレラーさん(パドレスGM)とその話をしていて、
山本君とか佐々木(朗希)君とかが、いずれパドレスの
ローテーションに入ってワールドシリーズで優勝できたらいいね、
みたいな話をしていたから。
(大谷や山本と)一緒にプレーできるチャンスが、もうない。
いろんな望みが消えた瞬間というか、悲しいですよ」
昨季対戦成績はパドレスの4勝9敗。音声配信アプリ
「stand.fm」では打倒ドジャースに「燃える」とも話していた
「最初は『どうしてこうなった!?』って。この状況に、すごくイライラした。
大谷君が、あれだけトップのチームに評価してもらって
(移籍先としてドジャースを)選ぶのは当たり前だし、
山本君もあれだけ評価してもらって選ぶのは当たり前。
同時に、その状況が起きていることは確かだから、それに対して
フラストレーションはあるわけですよ。
誰かを責めているわけじゃない。運命的なところで、
すごくイライラしたんですけど、時間がたってきて、
大谷君とは打者とピッチャーとして対戦したことがないから
『ドジャースの大谷君』と対戦できる楽しみであったり、山本君との
対戦であったり、今までよりも倒したいなぁっていう気持ちはありますね」
今年は3月20、21日に韓国でドジャースとの開幕戦が控える
「開幕が早いイメージでは進めていないです。去年、僕はけがで1カ月半くらい投げていなかった。
WBCとかで去年は早く仕上げたので、焦ってやってしまうと良いと思えない。
とにかく(右肘が)試合で投げても痛くないっていう状況を保つことが大事だと思う。
そこは、ちゃんとペースを守りたい。もし韓国の開幕シリーズで投げてくれとチームが
言うのであれば、調整次第ですけど、もちろんそのつもりでいますけどね」
――2025年もメジャーの開幕シリーズが日本で行われる見込み。
パドレスとドジャースを呼びたいという案があるとしたら
「もちろん、日本でプレーできる機会があるのであればうれしい。
ただ、アジアで同じチームのオープニングはどうなのかって思う。
ドジャース対ヤンキースとかだったら、おもしろいですけどね」
野茂英雄氏を尊敬
パドレスにはダルビッシュが尊敬するレジェンドが在籍する。
球団アドバイザーを務める野茂英雄氏だ。「野茂さんはすごいなって思う。
本当に偉ぶらない。これが本来ある姿勢なのかな、って思っています」。
日米通算201勝(MLB123勝、NPB78勝)を挙げた
日本人メジャーリーガーの先駆者。
誰もが認める実績がありながら、謙虚に振る舞い、
親身にアドバイスを送る先輩も心強い存在だ。
ド軍は好敵手
ダルビッシュにとってドジャースは特別だ。
自身は2017年7月末のトレードでレンジャーズから移籍。
18年のカブス移籍、21年のパドレス移籍からは同リーグの
ライバルとして戦っている。
勝利に徹する打線&チーム方針について「目的意識が一人ひとりちゃんとある。
何をしなければいけないか、場面場面で分かっている」と分析する。
登板日はドジャース戦を志願するほど「倒したい」相手だ。