日銀「三度目の正直」で利上げへチャレンジ!金利のある世界がついに到来か

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「地銀 メガバンク 信金・信組 残酷格差」です。

日本銀行がマイナス金利を解除し、金利のある世界が到来したとき、
一体何が起きるのか。

日銀や地方銀行、メガバンクなど金融機関への取材を通じ、
その真相に迫ります。

(ダイヤモンド編集部副編集長 重石岳史)

ゼロ金利政策導入から四半世紀

日銀が「2度」敗れた苦闘の歴史

「長きにわたる低インフレ・低成長の流れの転換に
向けた動きが見られた1年だった」。

日本銀行の植田和男総裁はマイナス金利の解除、そして利上げにより
「金利のある世界」を復活させることができるか Photo:JIJI

2024年1月4日、都内で開かれた全国銀行協会の新年の集いに
出席した日本銀行の植田和男総裁は、23年をそう振り返った。

植田総裁は24年について「賃金・物価がバランスよく上昇していくことを
期待したい」と述べ、列席した銀行関係者らに対し、企業の前向きな
設備投資や研究開発投資を支えるよう呼び掛けた。

これに先立つ12月25日の講演では、植田総裁は「賃金・物価が動くようになることは、
より大きなプラス効果を経済にもたらす」とも述べている。

「マイナス金利解除への布石として、デフレ脱却を強調しているかのようだ」。

年末から年始にかけての一連の植田発言について、メガバンク幹部はそうみる。

だが、植田総裁は23年夏ごろまでは、
「基調的インフレは依然として目標の2%を若干下回っている」
との見解を持っていた。

日銀が目指す消費者物価指数(生鮮食品を除く)の前年比上昇率2%の
安定的な実現について、明らかに慎重な姿勢だった。

22年に利上げを開始した米国との金利差が拡大し、
円安が進んでいたにもかかわらず、である。

その慎重姿勢は理解できなくもない。

1999年にゼロ金利政策が導入されて以来、日銀はゼロ金利解除に
2度挑み、いずれも失敗に終わっているからだ。

※マイナス金利解除へ決断の時迫る

2024年に0.25~0.5%の利上げか

1度目は2000年8月。

当時の速水優総裁は年頭記者会見から「ゼロ金利は異常な金利。

副産物も膨らんできている」と発言し、ゼロ金利解除への意欲を隠さなかった。

実際に解除に踏み切ったが、米国のITバブル崩壊で世界経済に不穏な
空気が漂い始め、翌01年3月には初の量的緩和に追い込まれた。

2度目は福井俊彦総裁時代の06年7月。翌07年にかけて日銀は2度の
利上げを実施したが、やはり米国発のリーマンショックで頓挫した。

その後、日銀は白川方明総裁時代の10年に実質ゼロ金利政策を復活。

そして2%の物価上昇目標を公約に掲げた黒田東彦前総裁が、
マイナス金利政策を導入したのが16年1月のことだ。

「過去2回と今回では、明らかに様相が異なる」。そう断言するのは、
日銀で金融政策担当理事などを歴任した、門間一夫・みずほリサーチ
&テクノロジーズ・エグゼクティブエコノミストだ。

過去と現在の最大の違いは、物価と賃金の上昇にある。23年10月、
日銀は24年度の消費者物価指数見通しについて、7月時点の1.9%から
2.8%へ大幅に上方修正した。悲願だった2%超えの達成である。

前述の通り物価見通しに慎重だった植田総裁は昨秋以降、
「見通しに誤りがあったことは認めざるを得ない」との発言が増えた。

無論、その主因は原油など商品市況の上昇や円安の進行にある。

金利が上げ止まったままの米国と、下げ止まったままの日本の間で、
金利差は依然大きい。

※そしてもう一つの重要ポイントが、賃金だ。

23年の春闘で賃上げ率は前年比3.6%の上昇を記録し、
30年ぶりの高水準となった。

その上昇が24年春闘も持続するかを見極め、
日銀はマイナス金利解除を決断するとみられる。

円安や物価高が進んだ今、
世間ではマイナス金利付き量的・質的金融緩和への批判も多い。

門間氏は「緩和し過ぎることに対する批判は過去30年間で一度もなかった。

日銀は今、かつて経験したことのない局面にある」と指摘する。

門間氏が言う通り、2000年当時、ゼロ金利解除に対する批判は多かった。

実は植田総裁も、当時は日銀審議委員として解除に反対した一人だ。

ゼロ金利政策が導入されて以来の四半世紀、日銀は金融正常化に挑み、
いずれも敗れる苦闘の歴史を歩んだ。

24年、「三度目の正直」で日銀はマイナス金利の解除、そして利上げにより
「金利のある世界」を復活させることができるのか。

その環境は整いつつあるように見える。

門間氏は、24年4月の金融政策決定会合で日銀がマイナス金利を解除し、
0.25~0.5%程度の利上げも年内にあり得ると予測する。

「企業の収益が好調で賃上げの原資は多い。

賃上げ率が23年を上回る可能性は十分ある」(門間氏)。

だがそもそも、金利のある世界は、われわれに何をもたらすのか。

この四半世紀の間、ほぼゼロ金利だった世界が転換するとき、一体何が起きるのか。

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