子育て支援金「実質負担ゼロ」 政府説明に与党からも疑念、国民の疑念払拭に至らず

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政府が16日に閣議決定した子ども・子育て支援法等改正案には、
少子化対策財源として公的医療保険料に上乗せして徴収する
「支援金」制度の創設が盛り込まれた。

岸田文雄首相は「実質的な追加負担は生じない」と繰り返してきたが、
その説明を疑問視する声は与党内にもあり、負担増に対する国民の
疑念を払拭するには至っていない。


「歳出改革と賃上げによって実質的な社会保険負担軽減の効果を生じさせ、
その範囲内で(制度を)構築していく。

事実上の子育て増税だという指摘は当たらない」

首相は今国会の審議で、支援金を「増税隠し」と
批判する野党側にそう反論してきた。

ただ、賃上げまで当て込んで「実質負担ゼロ」とする説明を
疑問視する向きは与党内にもある。


公明党の高木陽介政調会長は14日の記者会見で「分かりにくい。

国民理解がなかなか進まない要因の一つではないか」と指摘した。

個人の負担額は加入する保険や年収により異なる。

政府がそうした試算を現時点では示していないことも、
分かりづらさに拍車をかけている。

民間の試算はある。日本総研の西沢和彦理事によると、
各医療保険制度別の被保険者1人当たり月平均負担額(労使合計)は、
共済組合1637円▽組合健保1472円▽協会けんぽ1025円-になるという。

また、後期高齢者医療制度では加入者1人当たり253円の負担が生じる。

事業主の負担が結局、従業員側に転嫁される懸念もぬぐえない。

西沢氏は「企業が負担分について、賃下げするか、
価格転嫁することもありうる」と指摘する。

賃上げと並び、負担ゼロの根拠とされる「歳出改革」にも疑問の目は向く。


政府関係者は「無駄ならいくら切ってもいいが、社会保障にそんな
無駄がどれほどあるのか」と語る。

歳出改革の内容次第では、サービス悪化や窓口負担の
増加につながることも考えられる。

「負担なしといわれれば国民は無関心になり、政策に国民の判断が介在しなくなる。

首相は『負担はあるが重要な政策だ』と説くべきだ」。

西沢氏はそう語り、サービスと負担をセットで示して国民の判断を仰ぐ必要性を指摘する。
(深津響)

 

 

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